冬の旅 ヴィルヘルム・ミュラー
訳詩:神崎昭伍
※テキストデータのためウムラウトなどは省略しています。
私は雷の中にむなしく,
あのひとの足跡を探し求める.
私の腕にすがってあのひとが
縁の野を歩いた場所で.
私は大地に口づけよう,
私の熱い涙で
氷と雪をつらぬき
大地が見えるまで.
どこに花が見つかる?
どこに草が見つかる?
花ばなは死にたえ,
草地は色あせて見える.
想い出の品を
ここからとって行ってはならないのか?
私の苦しみが沈黙したとき,
だれがあのひとのことを語ってくれるのだろう?
私の心は死にたえたようだ.
心の中にあのひとの姿が冷たく凍りついている.
いつか私の心が再びとけるとき,
あのひとの姿も流れ矢なわれてしまう