シューベルト歌曲集「冬の旅」作品89 D.911(全曲)訳詞
Die Winterreise / Franz Schubert


冬の旅  ヴィルヘルム・ミュラー
訳詩:神崎昭伍

※テキストデータのためウムラウトなどは省略しています。


6 増  水


私の眼から多くの涙が
雪の中へ落ちた.
冷たい雪片が
渇えたように,熱い苦しみを飲んだ.

草が芽をふくときには,
温かい風が吹いてくる.
そして氷はくだけ散り,
やわらかい雪はとけて流れさる.

雪よ,お前は私の憧れを知っている.
言ってくれ,どこへ流れて行くのか?
私の涙の流れる方へついて行け,
やがて小川に流れこむだろう.

涙とともに街へと流れ
活気のあふれる道路に入りまた出て来るだろう.
私の涙が熱くなるのを感じたら,
そこが私の恋人の家だ.


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