冬の旅 ヴィルヘルム・ミュラー
訳詩:神崎昭伍
※テキストデータのためウムラウトなどは省略しています。
私の眼から多くの涙が
雪の中へ落ちた.
冷たい雪片が
渇えたように,熱い苦しみを飲んだ.
草が芽をふくときには,
温かい風が吹いてくる.
そして氷はくだけ散り,
やわらかい雪はとけて流れさる.
雪よ,お前は私の憧れを知っている.
言ってくれ,どこへ流れて行くのか?
私の涙の流れる方へついて行け,
やがて小川に流れこむだろう.
涙とともに街へと流れ
活気のあふれる道路に入りまた出て来るだろう.
私の涙が熱くなるのを感じたら,
そこが私の恋人の家だ.