冬の旅 ヴィルヘルム・ミュラー
訳詩:神崎昭伍
※テキストデータのためウムラウトなどは省略しています。
いったいなぜ私は
はかの旅人のたどる道をさけるのか?
なぜ雪にうづもれた岩山を通る
かくれた小道を探し求めるのか?
罪をおかしてはいない,
人びとをおそれねばならぬわけではない.
どんな馬鹿げたのぞみが
私を荒野の中へと追いやるのか?
道しるべは道にたち,
あちこちの街を指している.
そして私はかぎりもなく,
安らぎもなく旅し,安らぎを探し求める.
一本の道しるべが眼前に
じっと立ちつくしているのを私は見る.
一つの道を私はたどらねばならない.
だれもまだ戻って来たことのない道を.